日本代表先発6人交代で活を入れ蘇えった<リオ五輪アジア最終予 選観戦記>

1月18日(土)、ドーハ(カタール)にてアジア最終予選B組第2戦、日本代表はタイ
代表に4−0で勝利(同組、サウジアラビア3−3北朝鮮)。日本は、同組最終戦のサ
ウジアラビア戦を待たず、1位で決勝トーナメントに進出が決定した。

日本代表の手倉森監督は、第1戦の北朝鮮にて低迷したチームに「活」を入れるため
か?、大胆にも先発した選手6人を入れ替えた。試合開始からタイは、ザックジャパ
ン流のボールポゼッションでパスを繋ぎ、日本はディフェンス(DF)陣の選手を代え
たこともあって、相手のペースでゲームが展開。左サイドバックの亀川のトラップミ
スもあって危険な場面があった。

前の試合で、攻守の核になるべきボランチが機能せず、選手間が開き過ぎ、コンパク
トに隊形を保てなかったことが、苦戦の要因のひとつであったが、インフルエンザか
ら回復した主将の遠藤を中心に落ち着きを取り戻し、快速FWの浅野がダイナミックに
動き、チーム内に活力を与えていた。前半27分中盤でのワンタッチのパスで遠藤が相
手DFの裏を突くパス。FWの鈴木が反応して、相手DFと競り合いながらボールを
頭で抜け出し間髪入れず右足でゴールに向け振り抜き、素晴らしい先制弾を決めた。
この得点はチームに勢いをつけ、タイにショックを与えた貴重なゴールであった。

この日の遠藤は、メンバーが代わったこともあって、攻守において責任感溢れるプ
レーでチームを支えていた。後半4分右サイドから鈴木に代わって入ったFWオナイ
ウが右サイドからゴール前にクロス。更に左サイドから抜け出したMF原川がゴール
前にクロスして、MF矢島がジャンピングヘッドで追加点を決め、2−0とリード。
浅野に代わって入ったFW久保が2点(1点はPK)追加して、日本代表は4−0でタ
イ代表に勝利。勝ち点6で、決勝トーナメントにトップで進出を確実にした。

日本は勝ったものの、後半8分、ペナルティエリア内で、DF亀川がタイのFWに後
からタックルして、相手にPKを与えてしまった。PKは失敗して助かったけれ
ど、、日本代表の守備陣に問題がある。

北朝鮮戦でも、エリアの内と外で相手選手の後方から押したり、スライディングタッ
クルしたり、相手がジャンプしている際、前屈みで対応したりで、主審の解釈次第で
PKを取られる危険性がある。また、相手にフリーキック(FK)を与えることで、
相手のキッカー次第で得点にもなるのだ。(北朝鮮は失敗してくれたが、決勝ラウン
ドでは致命傷になる)

日本の選手の欠点は、自分のミスを自分で補おうとして、ムキになってボールをもっ
ている相手を追跡して、状況を考えず無理なタックルをしてしまう癖がある。自分の
後方にいる味方を信頼して、ボールに行かずコースを消す動きをするだけで十分なの
だ。

今回の最終予選は、短期の集中開催、過密日程であり、中東での猛暑で、選手がどれ
だけ体力を回復させることができるかが重要な課題である。その意味から、先発メン
バー6人交代させたこと、2試合で18人をピッチに送り込めたこと、しかも2試合で
トップにて決勝ラウンド進出という結果を出したことは、日本にとって、総力を結集
できる条件が揃ったことは幸いである。

しかし、決勝トーナメントは、相手のレベルが違い、「サッカーは意外性のある競技
だ」ということを忘れないで戦ってもらいたい。手倉森監督に望むのは、6人交代で
活を入れ蘇えったように、もう一押し活を入れて選手たちを鼓舞してほしい。これが
蜻蛉のつぶやきである。 

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「勝つだけがサッカーじゃない」<リオ五輪アジア最終予選観戦記(1)>

1月13日(水)ドーハ(カタール)にて、リオ五輪出場権をかけた、アジア最終予選B
組第1戦、日本代表は北朝鮮に1−0で辛うじて勝利。勝ち点3でグループのトップ
に立った(同組のサウジアラビア1−1タイ)。

この試合の前日(1/12)公式会見にて、手倉森日本代表監督は「日本の未来、この
世代を鍛え上げる大会にしたい。集中開催、過密日程、タフだからこそ高めてくれ
る」と、期待を込めて語っておられた。

ところが、この試合後の談話では「勝ったことが全て、選手たちは硬くなっていた
が、その中で勝てたのが大きい」というように、期待と現実のギャップの差を「勝っ
たことが全て」、とスリ換えている。

一方日本代表のゲームメーカーであるMF中島選手は「勝つだけがサッカーじゃない。
いいサッカーをして勝たないと、これから先が厳しくなる。アジアなので(勝て
た)。五輪の初戦でこんなプレーしたら大敗する」と、現実をしっかり捉えている。

日本は試合開始早々の5分、右コーナーキック(CK)をDF山中選手が左足でキック、
ゴール前の日本の選手が二アポスト側に揃って移動したとき北朝鮮の選手もつられ、
ファーポスト側がガラ空き、そこにロビング(ロフト)ボールは落ち、待ち構えてい
たDF植田選手は全くフリー、右足でシュートを決め、日本が先制。

これが「全て」だった。その後の日本は、北朝鮮にボールを支配され、見るべきもの
は何もなかった。

日本は失点0で、数字の上では、しっかり守ったかのように思われる。しかし、再三
再四セットプレーのフリーキック(FK)やCKにて、相手のシュートチャンスの失敗や
ボールの競り合いでペナルティーくさいプレーなど、日本のゴール前は、失点の危機
にさらされていたのだ。もし同点にされていたら、それこそ大敗していたかもしれな
い。それほど試合内容は、北朝鮮が戦術・技術・体力そして球際の競り合いで、日本
を上回っていた。ということは、日本選手たちのプレーに余裕がなく、無理なタック
ルで反則を犯していたのだ。

4−4−2の戦術では、ボランチの遠藤選手と大島選手がチームの攻守の起点になら
なければならないのに、A代表のカンボジア戦でのボランチのように、全く機能しな
いで混乱したかのように、選手間の距離をコンパクトに保てなかった。、トライアン
グルのワンタッチのパスもほとんどなかった。それに相手ゴールに攻め込んでも、ミ
ドルシュートを打たず、左右に展開して、無理な角度からシュートというように、得
点のチャンスはほとんどなかった。

それにトップのFW鈴木選手と久保選手や左右のMF南野選手と中島選手の連携プレーも
なく、やたらとドリブルするか楔のパスを入れるだけで、ボールを奪われたら、直ぐ
にプレッシャーをかけられる位置になく、個々の選手が苦しんでいたのだ。

試合の結果は勝ったけれど、チームとしてのコンビネーションプレーが成り立ってい
なかった、と言っても過言ではない。それほど、日本代表の初戦はひどかった。これ
は、やはり監督の責任でもあるのだ。

「勝つだけがサッカーじゃないよ」と言いたい。これが蜻蛉のつぶやきである。

By tombowchan

優れた個の力で試合を決定づけたバルサ<FIFAクラブW杯観戦記(6) >

12月20日FIFAクラブW杯決勝、欧州の覇者スペインのFCバルセロナ(バルサ)対南米
の覇者アルゼンチンのリバープレート(リーベル)の試合は、横浜国際総合競技場で
行われ、3−0でバルサが勝利して栄冠を得た。

この試合前バルサのメッシとネイマールの出場が危ぶまれていたけれど、期待通りこ
の2人とスアレスが先発で出場し、試合を盛り上げてくれた。リーベルは開始早々か
ら、激しい動きで、バルサのボールポゼッションのリズムを潰しにかかりパスミスを
誘発させていた。けれども、リーベルの選手はボールを奪った後、落ち着きがなかっ
た。カウンターアタックのチャンスを性急に前線へパスし過ぎて、ブロックを形成し
て攻め上がる工夫がなかった。

バルサは前線のスアレス、ネイマール、メッシという、世界屈指のアタッカーを活か
しきれなかったが、MFのブスケツとイニエスタがボールをキープしながらボール支
配率を高め、サイドのスペースを活かす動きをしていた。前半36分、右サイドの空い
たスペースにDFアウベスが駆け上がり、左サイドへロビングのクロス。

左サイドにいたネイマールが相手と競り合いながらジャンプヘッドでゴール前に詰め
ていたメッシへ落とし。メッシは、ほんの僅かなスペースで腹でボールを止め間髪入
れず左足でシュート(このメッシのプレーこそ私が指摘している日本選手に足りない
ゴール前での即興的なプレー)を決めた。このシュートにしても、ボールを受けた体
勢からいって、左足の甲で捉えしかも右側にシュートするなど常識では考えられない
ことでる。

それがメッシの凄さなのだ。

このメッシの先制点で、一挙にバルサのペースになってしまった。前半ミス続きだっ
たスアレスが調子を取り戻し、後半開始早々の4分に、単身ドリブルでゴールを決
め、23分にはネイマールの左からのクロスをヘディングシュートを決め、今大会5得
点で得点王、それにMVPに輝く大活躍をした。

欧州対南米戦のこの試合、両チーム先発選手を調べると、バルサには6人が南米出身
で欧州出身は5人ということは、南米出身が合計17人が出場していたのです。

このような現象は、ボスマン裁定によりEUのクラブの外国人枠が撤廃されたとき、
経済力の優れるビッグクラブは当然のごとく選手獲得競争に走った。すべてのポジ
ションにスーパースターを揃える。スペインのレアルマドリードやバルサがチャンピ
オンリーグを制覇。だから、バルサのように、ボールポゼッションで相手をボール支
配力で圧倒。しかも、今大会のメッシ、スアレス、ネイマールといった、決定力のあ
る選手を前線に置いてしまうことから、日本代表のように攻守の切り替えの速さとス
ピードを、それほど必要としなくなった。組織力というより、「優れた個の力で、試
合を決定づけてしまう」のだ。

これが蜻蛉のつぶやきである。

By tombowchan

自主独創・積極果敢・協力一致<FIFAクラブW杯観戦記(5)>

12月20日(日)横浜国際総合競技場にてクラブW杯3位決定戦が行われた。アジアの
覇者中国の“広州恒大(広州)”が開催国Jリーグ覇者”広島サンフレッチェ(広
島)“と対戦。結果は広島が2−1の逆転勝利で堂々たる3位の銅メダルを獲得し
た。

アジア・チャンピオンリーグ(ACL)にて、Jリーグのチームをことごとく破って
きたアジアの強豪広州に対して、Jリーグチャンピオンの広島が、「どれだけ意地を
もって戦うか?」を期待しながら観戦した。

広島はDFの要である千葉が出場停止で欠き、それにDF佐々木、MFドウグラス、
森崎和、柏を控えに温存。そのせいか、開始早々4分、GK林が相手のシュートをパ
ンチングで正面に返したのが失敗、空かさずシュートされ広州に先制点を許してし
まった。

だが、広島は慌てることなく、主将のMF青山を中心にペースを取り戻し、これまで
のようにディフェンスラインを下げるだけでなく、トップの佐藤と浅野、サイドのM
Fミキッチと清水が積極的に攻撃。それにMFの茶島と青山がサポートして、再三相
手ゴールを脅かしていた。

前半を0−1のビハインドで折り返した広島は、12分と21分に佐藤とミキッチを代
え、ドウグラスと柏を入れてから形成逆転、23分左CKからドウグラスがヘディング
シュートで同点。このときのゴール前での他の選手の動きが巧妙だった。34分には
スーパーサブ柏が右サイドゴールライン際からクロス、浅野が頭で合わせたボールは
クロスバーに直撃して跳ね返り、空かさずドウグラスがヘッドで決勝弾を決めたので
あった。

「交代選手が活躍できるチームは強い」ということを私は、前々回このブログのタイ
トルに記載していますが、広島のドウグラスと柏の両選手は、それを実証してくれま
した。

日本サッカー界は「広島のサッカーを見習え!」と私が主張しているのは、つぎのよ
うな根拠からです。

南米ペルーで36年間私は、サッカー指導者としての経験から得たサッカー哲学で、
チームや個々の選手を、つぎの7つの観点を重視しながら観察することを学びまし
た。

「広い視野」「深い洞察力」「旺盛な行動力」「即興性」

 この4つについては以前に、広島の森安監督の指導面と選手たちのプレーに、これ
ら4つの資質が現れていることを述べています。これらに加え、選手たちがどういう
態度で練習に励み、試合において、チームの一員として、どのような姿勢で挑んでい
るのか。つぎの3つのことを発揮しているかどうかを観察して見極めるのです。

  「自主独創」「積極果敢」「協力一致」

 以上7つの観点から広島の選手たちとプレーを覗いて観れば、すべての面で合格
だった。だからこそ、準決勝のリーベル戦にも、選手起用を間違えなければ勝てた試
合だった。というのは、この大会に、運・不運は別として、堂々と勝てる条件をすべ
て備えていた、と思っていたからである。これが蜻蛉のつぶやきである。

By tombowchan

退屈なゲームを救ったスアレスのプレー<FIFAクラブW杯観戦記(4) >

12月17日(金)、クラブW杯準決勝(横浜国際総合スタジアム)の欧州の覇者スペイ
ンの“FCバルセロナ”(バルサ)対アジアの覇者中国の広州恒大(広州)は、FW
スアレスのハットトリック(3−0)で、バルサが楽勝。

この試合、メッシ(アルゼンチン)、ネイマール(ブラジル)、スアレス(ウルグァ
イ)という南米の3大ストライカー勢揃いが期待されていた。けれども、メッシが腎
結石による痛みで欠場、ネイマールは左足付け根負傷でベンチにいたものの出場しな
かった。そのためスアレスの活躍に焦点が絞られていた。

一方の広州は、ベテランのスコラーリ監督(ブラジル)が、どのような戦略で、難攻
不落のバルサに立ち向かうか、興味をもって観戦した。

前半、バルサは、ボールポゼッションで、ゲームを支配しようと試みたが、広州も守
備網をコンパクトにしながら相手にプレッシャーをかけていたので、バルサはなかな
か相手の懐にパスが通らず、ミスを繰り返し、時折、広州はMFパウリーニョを中心
にカウンターアタックで、バルサのディフェンスを脅かしていた。そのため、バック
パスを入れて、パスでボールをキープするだけで、トップのスアレスを活かせられず
苦戦していた。

このようなゲーム展開を見ていて私は、あくびをしながら眠気を感じていた。

前半は0−0かと思っていたが、バルサのFWスアレスが均衡を破った。この得点で
広州にとって残念だったのは、前半残り10分前、バルサのMFラキティッチのゴール
正面からのミドルシュートをGKがキャッチしそこなって前にファンブルしてしまっ
た。そのエラーをスアレスは見逃さなかった。スアレスはシュートの瞬間すでにゴー
ルに向けて走っていて、そのボールを空かさずシュートを決めたのだった。広州は、
その上に、センターバックの選手がバルサのDFアウベスとの接触で、脚が異常な角
度に曲がる重症で退場したことも不運であった。

後半、バルサは、開始早々の5分にて、MFイニエスタとスアレスとのワンツーの絶
妙なパス交換から2点目が生まれた。イニエスタはディフェンスラインの裏に走り込
むスアレスにボール浮かしてパス。スアレスはそのボールを胸でトラップしながら右
足でボレーシュート。GKはボールに触ったけれどゴール右隅のネットを揺さぶり。
バルサは2−0と突き放した。その後は、バルサの一方的なパス回しで、ピッチの半
分でゲーム展開。こうなるとスタジアムでバルサのゴール側で観戦する人たちにとっ
て、ゴールの攻防のシーンがなければ遠くでやっているプレーは退屈なものになって
しまう。

バルサの3点目は、PKであったが、間違いなく主審の誤審だった。バルサのFWム
ニルがペナルティーエリア内でドリブルで持ち込んだとき広州のDFが引っかけたと
いう判定でPKを与えたが、接触はしていなかった。南米の選手はあのような芝居を
してPKをアッピールするけれど、欧州の選手がやるのは珍しい。おそらく、スアレ
スのプレーを真似したのだろうと思う。彼は芝居が上手いし常習犯なのだ。

正直なところ、バルサのように3人もストライカーがいるチームがポッゼションサッ
カーをするのはいいとして、オークランド、ザックジャパン、それに、この試合の前
半のバルサのようパス回しのゲーム展開では退屈である。スアレスというストライ
カーがハットトリックでゴールを決めてくれたのが、救いであったように思う。これ
が蜻蛉のつぶやきである。

By tombowchan

広島は勝てた試合、でも勝って欲しくなかった<FIFAクラブW杯観戦記 (3)>

12月16日(木)、クラブW杯準決勝(ヤンマースタジアム)、南米の覇者リバープ
レート(リーベル)に対し

開催地代表J1リーグの覇者広島サンフレッチェが挑みました。結果は1−0にて
リーベルが辛勝。

この試合私は、広島に「勝って欲しい」という反面、「勝ったらまずい」のでは、と
いう複雑な心境で観戦していました。なぜ勝って欲しくないのか? それは、広島の
問題ではなく、日本サッカー界全体が、メディアを通して吹く風に乗って、凧のよう
に舞い上がってしまうのを恐れていたからである。

では、なぜ広島が勝てた試合だったのか? 試合前の私は、広島がマゼンベ戦と同じ
メンバーで先発(あるいはMF清水が復帰したらMF柏を控えに)したら、リーベル
に勝てると思っていたからである。

ところが驚いたことに、広島の先発メンバーを見たとき私は、「アレッ」と思った。
FW佐藤もMFミキッチもいないではないか。2人ともどうしたのだろうか?と心配
した。MF左は清水が復帰したのは理解できる。しかし、MF右にスーパーサブで活
躍してきた柏を先発させ、それにトップのエース佐藤を控えにして、FW皆川を先発
させた、森安監督の選手起用に疑問を感じた。

この試合は、森安監督にしても佐藤にしても、W杯という真剣勝負ができる大舞台で
あったはず。しかも相手は南米アルゼンチンの“ミヨナーリオ”(富豪)と呼ばれる
名門クラブ。南米ペルーにて、リーベルの試合を観戦してきている私の目には、皆川
は将来性はあるかもしれないが、元主将でJリーグ最多得点王の佐藤とは比較できな
い。主将の青山にしても他のプレーヤーにしても佐藤の存在は計り知れない信頼と絆
に重みがある。

最近の試合で得点していないからという理由があるかもしれないが、一発勝負には関
係ない。

森安監督は将来日本代表の監督としての器があり活躍して欲しいからこそ、この試合
で、日本人監督に足りない温情抜きの「勝負に徹する強さ」を示してもらいたかっ
た。

この試合の皆川は何回か好機があったので、「惜しいとか不運だった」と思う人もお
られるだろう。けれどもトップとしての使命から覗けば、攻撃面でのポジションのと
り方に相手との駆け引きがほとんどなかったこと、守備面では前線で相手にプレッ
シャーをかけていなかった。ただひたすらボールを追いかけているだけだった。

バルサのトップFWスアレスのポジショニングを見れば明らか。動きの広さと動き出
しの瞬間の判断が早いし、相手のディフェンダーを操る駆け引きの上手さ、それに球
際の強さに加えゴールに対する執念があるからこそ、

どこのチームであっても活躍できるのでる。

広島が先発に佐藤とミキッチ、浅野と柏を交代要員というパターンを崩さなかった
ら、強豪リーベル相手でも勝てた試合だった。というのが蜻蛉のつぶやきです。

By tombowchan

交代選手が活躍できるチームは強い<FIFAクラブW杯観戦記(2)>

12月13日(日)クラブW杯、準々決勝が大阪ヤンマースタジアムにて、2試合行われ
ました。

第一試合は、中国の“広州恒大”(アジアの覇者)が2対1でメキシコの“クラブ・
アメリカ”(中北米の覇者)に逆転勝ち。

第二試合は“広島サンフレチェ”(開催国代表)が3対0でコンゴの“マゼンベ”
(アフリカの覇者)に完勝。

この2試合、東アジア2チームが、世界の強豪を相手に、どのような闘いをするのか?
期待しながら観戦した。

偶然?、チームの頭文字が同じ「広」で、東洋民族の忍耐力と俊敏さと機動力を遺憾
なく発揮した素晴らしい試合でしかも勝利という誇れる結果を出してくれた。また、
広島の得点時間が44・11・33分であった。

広州は0−1で負けていた後半、外人2選手と交代に入った選手とブラジルのパウ
リーニョの活躍もあって、1−1の同点。アディショナルタイムに、左コーナーキッ
ク(CK)をパウリーニョがヘディングシュートで劇的な逆転ゴールを決めタイム
アップ。この試合は、パウリーニョ選手の素晴らしさを再確認させた。

同点ゴールでの、左サイドからのカウンターアタックで、パウリーニョは相手と競り
合いながらドリブルスピードを落とさずクロスしたプレーは素晴らしかった。ドリブ
ルをしながらも彼は、クロスするゴール前の状況を把握して、2人の相手DFにマー
クされていた味方の後ろに的確なパス。そのボールを受けた選手が、そのボールを後
方からフォローしてきた味方に落とし、それを見事に左足でダイレクトシュートで
ゴール左隅に決めた。この一連の連携プレーは東洋民族の機動力であり武器である。
この同点ゴールと逆転ゴールのCKにさせたプレーは、後半途中で外人選手と交代で
入った中国人の選手であった。

広島はこの試合の先発は、柏と茶島の両選手以外レギュラーだった。この日の広島
は、オークランド戦での課題を修正してきた。堅守速攻の戦術に加え、ディフェン
ダー同士でのボールポゼッションというユニークな戦術であった。一方のマゼンバは
アフリカの特徴であるスピードとパワーで、最初は広島のDFを脅かしていた。

日本サッカー界の問題である、守備の弱さ、選手個々の弱さ、経験不足が、嘘かのよ
うに、DFの要の千葉とキャプテンMF青山を軸にフル回転で、マゼンバのスピード
とパワーの出鼻を挫くかのようにプレッシャーを忠実にかけ、相手の攻撃リズムを破
壊させていた。広島は守るだけでなく、ボールを奪取したら、短中長のパスを織り込
む変幻自在のゲームを展開し相手ゴールを脅かした。その広島のペース配分は素晴ら
しかった。

広島の得点は前半終了間際の44分、セットプレーの右CK,キッカーMF茶島はゴー
ルエリアに向けて低いライナー性のキック。ゴール前中央にいたDF佐々木が二アポ
ストに素早く移動して頭でボールをかすめ、ゴール前に2人詰めていたうちのDF塩
谷が押し込んだ、意外性のある意表を突いた、先制点であった。

後半も広島のペースは威力を増し、11分には右CKをDF千葉がジャンプヘッドで
ゴール左隅に決め2−0。

その後も、FWドウグラスが2度GKと1対1の得点チャンスがあったが決められな
かった。しかし、29分FW佐藤と交代で入ったFW浅野は、33分MFミキッチの右か
らのクロスをゴール正面でヘディングシュートを決め、広島はアフリカの王者マゼン
ベを3−0で破る素晴らしい試合をしてくれた。

この準々決勝の2試合を観戦して感じたことは、「交代選手が活躍できるチームは間
違いなく強い」というのが蜻蛉のつぶやきである。

By tombowchan

ピッチもボールもプレーも滑った雨中の開幕戦<FIFAクラブW杯観戦記 (1)>

FIFAクラブワールドカップ(W杯)が3年ぶりに日本開催。 2015年12月10日横浜国
際総合スタジアムにて、開催国代表広島サンフレッチェ対オセアニア代表オークラン
ドシティー(ニュージーランド)戦で開幕された。

雨中戦での試合の結果は、2−0にて広島が初戦を制した。

今日からクラブW杯観戦を通して日本サッカー界の問題と照らし合いながらつぶやい
てみたい。

この試合の戦術は、広島がハリルジャパンの「堅守速攻」に対し、オークランドは
ザックジャパンの「ボールポゼッション」。オークランドのボール支配率が67%とい
う数字が示すようにゲーム展開は広島陣内で進められていた。

広島の先発はチャンピオンシップのスタメンから6人も入れ替わっていた。そのせい
か選手間の連携が合わずしかもピッチが雨で濡れ苦戦を強いられていた。幸運にも入
れ替わって出場した2人の若手のホープMF野津田とFW皆川にて先制点を決め選手
たちに気持ちの上で余裕を与えた。

ところがその後の広島の選手たちのプレーは魂が抜けていた。リラックスなのは良い
が、時折気の抜けたプレーになることを私は指摘していました。特に雨中での試合で
気の抜けたプレーは、濡れたピッチでボールスピードが不安定になる。それにボール
コントロールも難しい。広島のディフェダー間での短いパス、バックパス、横パス
は、途中でカットされるだけでなく、相手選手との接触となり、しかも味方のゴール
前ということも含めて、大変危険なプレーである。選手のケガも誘発、ペナルティ
キック(PK)、フリーキック(FK)で相手に得点を許す。それに加え、イエロー
カード(2度)とレッドカードで退場もあるのだ。

広島の野津田、柴崎、清水の3選手のケガも、選手間の気の緩みと心身が一如でな
かったことが原因だと思う。

この日のMF野津田選手とFW皆川選手のプレーについて、感じたことを述べてみた
い。

先制点を決めた。右サイドからのコーナーキック(CK)は、キッカー野津田は、近
くに位置していた柏選手にパスして、止めたボールを直ぐ受けて、左足で相手DFを
交わし、クロスと見せかけ、いきなりニアポストに向け左足でシュート、意表突かれ
たのか?濡れたボールにGKはキャッチしそこないファンブル、そのこぼれたボール
を、ゴール前に詰めていた2人のうちFWの皆川がゴールを決めた。

日本代表の選手に足りないのは、角度がなくともシュートを試みる勇気がないこと
と、特に雨の日の夜間試合には、ゴールに向けてシュートすれば、照明とピッチのす
べり、ボールのすべり、それに手足と頭のすべりにてプレーのミスを誘発する可能性
がある。だからこそ、シュートと同時に皆川選手のようにフォローすることが大事に
なるのだ。

広島の2点目も、DFの塩谷選手が右サイドのゴールライン際という角度の位置から
のシュートを決めている。それにDFの選手がカウンターで前戦まで出てシュートし
ているプレーに注目。これこそ広島サッカーの強さの現われではないだろうか。

広島がこれから対戦する強豪相手にどのような闘いをするか、期待したい。これらが
蜻蛉のつぶやきである。

By tombowchan

2015J1リーグ年間王者、「広島サンフレッチェ」はなぜ強いのか?

12月5日(土)、J1リーグのチャンピオンシップ決勝第2戦(広島Eスタ)にて広島
は、G大阪に1−1で引き分け、2015年の年間王者に輝いた。前半広島は27分にG大
阪に先制されたが、後半31分に途中出場のFW浅野琢磨がヘディングシュートで同点
ゴールを決め、引き分け。2戦合計4−3でG大阪を下した。

森安一監督は、広島の監督就任以来、4年間で3度優勝という偉業を成し遂げました。
今日のテーマである、「広島サンフレッチェ」はなぜ強いのか?について、このブロ
グ『蜻蛉ちゃんのサッカー』に、下記のとおり過去6回、広島のサッカーと森安監督
について記載していますので、読んでいただければ、なぜ強いのかが分かって頂ける
のでは、と思います。

(1)2012年12月7日、11日、13日、クラブFIFAW杯サッカー観戦記(1)、
(2)、(3)。

(2)2013年2月25日、ゼロックススーパー杯、広島対柏戦を観戦して。

(3)2013年12月11日、「森安監督は未来の日本代表の監督になる才能あり」

(4)2014年3月3日、ザックジャパン、広島のサッカーを見習うべし。

広島の強さを知るのには、やはり森安一監督の選手時代のエピソードから語らなけれ
ばならないでしょう。

オフト(オランダ)日本代表監督時代、当時まったく無名の森安一選手(マツダ=現
在の広島)を代表候補の合宿に招集。常連の選手たちは誰も知らなかった。ところが
彼は、アルゼンチンとの親善試合に先発。MFのボランチ(守備型MFでポルトガル
語の舵取り)として初出場。試合後のインタビューで、当時アルゼンチンのスターで
あったFWのカニージャは、「日本の選手で一番やり難かった選手は16番(森安)
だった。自分が入りたい思って動くと、彼が立っているんだ」という言葉に記者団は
驚き、アッという間に、森安の名とボランチという用語とポジションの機能が世間に
広まったのでした。

また、テレビのカメラで森安のプレーを捕らえようとしても、相手からボールを奪っ
たら、直ぐに味方にパスしてしまうため、彼とボールの像を画面に捕らえられない」
とテレビ関係者を悩ませていたそうだ。

その森安が、広島の監督就任1年目で過去1度もリーグ戦でタイトルを獲得したことの
ない広島を優勝に導いたのは、彼の選手時代に、日本代表にて1回のチャンスで結果
を出した“強運”を見逃すわけにはいかない。

森安監督は、日本代表の監督になれるだけの才能がある、と蜻蛉の目はそう見ていま
す。そのわけは、彼がベンチやコーチングボックスに立っている時の目の輝き、その
姿はオーラを感じさせている。それに彼の「広い視野」「深い洞察力」「旺盛な行動
力」「即興性」が、そのまま選手のプレーになって現れているコト。そのうえ、感情
の起伏が少なく、リラックスした冷静さは、監督としての資質は十分備えている。も
ちろん、サッカーの戦術・技術・体力等の知識もあり、センスも感じられる。監督の
心のゆとりが選手に反映して、選手のプレーも遊びがあって、見ていて安心して見て
いられる。対G大阪の第1戦にて、先制を許したプレーのように、時々、リラックス
したプレーが、気の抜けたプレーになってしまう悪癖があるけれども、広島の素晴ら
しさは、必ず次の試合には修正していることである。

最後に、優勝できた要因を森安一監督は、「我々の選手スタッフ一人一人責任をまっ
とうし。チームのために身を粉々にしてやってきて、チームとクラブそれに、多くの
ファンとサポーター、一丸の優勝だと思います」と述べておられた。このように、総
力を結集できる集中力こそ広島の強さではないだろうか。

以上が、今日のつぶやきである。

By tombowchan

守備も攻撃も一如、「広島のサッカーを見習え!」

12月2日、Jリーグチャンピオンシップ(CS)決勝の第1戦、G大阪(年間3位)対
広島(年間1位)戦が大阪の万博スタジアムにて行われ、広島がロスタイムにて2点得
点を決め、3−2の大逆転で勝利。

 

この試合、日本代表のハリルホジッチ監督が観戦していましたけれど、私の「広島の
サッカーを見習え!」という声は届いただろうか? そのことはともかく、この試合
は優勝戦に相応しく、タイムアップの笛がなるまで、両チームの選手たちが躍動し、
緊迫した展開で見応えのあるゲームであった。

G大阪にとって大事なホームでのゲームであった。残念なことに、2−1で勝ってい
た際、右サイドバックの選手が広島の選手の反則プレーに激怒して、突き飛ばしてし
て退場したのは不運であった。けれども広島は、そのチャンスを、交代で入った、浅
野と柏の活躍もあって、ロスタイム5分を活かし2得点を続けて決め、アウェーでの勝
利に加え3得点で、ホームにて第2戦を迎えることができ、優勝に一歩近づいたよう
である。

この試合の広島は、Jリーグ最終節の湘南戦同様、キックオフからディフェンスライ
ンを下げ、G大阪の攻撃を迎い入れる作戦であった。この作戦を私は、広島がこのC
Sとその後の日本開催クラブW杯(優勝すれば出場権を得る)を意識した戦略的な戦
術ではないか、と推測した。

強豪相手にはディフェンス陣を堅固にしないと勝つことはできない。そのために、あ
えて相手に攻めさせ、試合でプレテストを試みているのではないか。ただ守るだけで
はない、日本代表の課題でもある、ゲーム展開のペース配分、ゴールに向かう意識や
ボールの奪い合いでの接触プレーにて、球際の強さ、泥臭さ、執念といった日本選手
に欠ける部分に正面から取り組んでいるように思えた。特に、ペナルティエリア内の
質の向上のため、全員守備と全員攻撃で、チームの勝利のために戦っていたように私
は、感じていた。それに、戦術的な柔軟性もG大阪を上回っていた。それが結果とし
て後半最後に執念の3得点となって結実したとも言える。

日本人は「守備的サッカーは弱者がするサッカー」、「守備的なサッカーでは将来に
つながらない」という考えというか、一種の固定観念がある。言葉をかえれば偏見で
ある。チャンピオンになるのに泥臭くとも、広島のように引き分けでもいいという
ゲームはしない。、だが、広島はタイトルを獲得するため2連戦をひとつにした戦略
で、戦術を組み立て、優勝という目標を達成させることと、チームと個人個人の能力
を向上させる努力をしているのが観ていてその意気がひしひしと伝わってくる。

守備的だとか攻撃的だというのがおかしい。「自分たちのサッカー」といっても相手
のあることを忘れてはならない。攻撃も守備も相対的なもの。私たちの身体にも心が
あり、「心身一如」であるように、サッカーの「攻撃も守備も一如」でなくては、相
手に勝つことはできない。というのが蜻蛉のつぶやきです。

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